それからまた１０日くらいたった
―― ３月１４日
世間ではホワイトデーといわれている
何も期待してないけど
やっぱり気づいていなかったのかな？
それとも訳が分からずゴミ箱に行ったかな……？
仕方ないよね？
直接渡したわけじゃないし
―― 同じ日の夕方
電話が鳴った
「はい。佐山です」
『俺、田中だけど。』
出るんじゃなかった
何で偽名で名乗るの？
「はぁ……」
『佐山さんホワイトデーに誰かからお返しもらった？』
なんで？
私誰にも言ってないのに？
もしかしてカマかけ？
「あげていないので、もらってないですけど」
ほっといて！
人が今一番気にしている事を
『寂しいね』
「別に」
なんなのよ！
電話が掛かって来る度にコイツの事がウザッたくなる
これといった内容の話をしてないから今何を話してるのかすら覚えてない
『…………で、オレが誰だかそろそろ分からない？』
薄々は察してはいるけど……
分かりたくもないってのが本音かな
「分かりません」
『(笑) 今はまだ、教えられない』
なんなんだ、コイツは。
電話を切るタイミングが掴めないままズルズルと話を聞かされている状態が続く
切りたいよ～
『………じゃ、またね』
やっと切れた
ん？
今“またね”って言った？
もう、架けてこないで～～
