『もしもし……佐山さん……?』


 「ハイ」

  誰? 

 声の主の見当もつかない

 『俺、……同じクラスにいるんだけど……付き合ってくれる?』

  はぁ?

  コイツいきなり何なの?


 「ごめんなさい」

 即答


 『どうして?』


 「……誰かも解らないし……」


 『じゃぁ、名前言ったら付き合ってくれる?』

 何それ? 順序が逆じゃない 


 「最初に名前も名乗れないような人とはお付き合い出来ません」


 『好きな人も付き合ってる人もいないんでしょ?』

  あ~ぁっ

  最初にあんな事言わなきゃ良かったなぁ


 「それは……いないけど」

 たしかに

 付き合ってる人はいないけど

 ……好きな人はいる
   
 でも

 そんなの誰だかわからない人になんか言いたくないよ
 
 まして、その相手あなたのすぐ近くにいる人だなんて

 ……多分


 『なら……いいじゃない』


 「ごめんなさい」