再開するのは嬉しい人ばかりでもない。
― 放課後
帰り支度をして玄関先に向かった所で一人の女の子に呼び止められた。
「佐山さん、私のこと覚えてる?」
「えっ?」
声のするほうに振り返ると、瞳がが大きく赤色の髪の女の子だった。
……誰?
「夏井っていうんだけど」
……!!!
「う……ん」
“夏井 薗(なつい その)”
忘れたくても忘れられなかった、
……一番会いたくなかった人。
彼女は、私がまだこっちにいた頃同じクラスにいた人。
家も近くで度々一緒に帰る事があったが、好んで帰ったわけではない。
彼女の言う事を聞かないと腕を抓られる。
それが怖くて従っていた。
それを誰かに言った事なんかないけど。
「また同じ学校だねー、よろしくね」
皮肉な笑顔で声を掛けてくる。
私は心にも思ってないのに
「う……ん」
この一言を発する事が精一杯だった。