「あのさ、トモッチちょっと黙ってて」

古田君は真剣な顔で私に向き直る


 「答えにくかったらいいけど、サヤは都立行かなかったの? 行けなかったの?」

 嵩くんは心配顔で聞いてきた


 「それは……」


 「行けなかったんだよね?」

 いつの間にか話の輪にいるのは紀ちゃん 

  そうはっきり言わないでよ~

 共に図書館と塾と、夏休みの半分は彼女といたから私の進捗状況をよく知っている


 「そう、行けなかったんだぁ。私あんまり頭良くないからねぇ」

もう開き直っている私は、明るく答える事が出来た


 「そっか……でも良かったじゃん。とりあえず受けるところだけでも決まってさ」

 
 「……うん」


 「俺、そこの学校の事聞いた事あるけど、結構評判いいよ。文学史に力入れてるってさ」


 「そ……なんだ」


 「うん。それに、就職にも力入れてる学校だから後々いいところにも行けるかもよ? な~んて、知人の受け売りだけどな(笑)」


 「(笑)……」

 彼らの笑顔に私も自然と笑う事が出来た


 「がんばれよ」


 「ありがとう」


 「俺らも負けてられないなぁ」

 そう言って彼等は去って行った

 みんなが応援してくれる。こんなにも嬉しい事はない


 あいがとう