「どうしたんだよ海姉ちゃん。ここ2~3日、気づいたら上の空になってるけど」


ウッ…やっぱり弟だ…よく見てる。


「何でもないよ。さてと、勉強しなきゃ……」


とりあえず笑って誤魔化し、止まっていたシャーペンを動かし始めた。


夏の風がソヨソヨと開け放たれた窓から入って来て、気持ちいい。


私は天然パーマでウェーブになってる髪の毛を、ヘアゴムで1つに結んだ。


「だけど海、いい事あったんじゃないか?今ボーーッとしてたけど、微妙に笑ってたぞ」


机を挟んで私と総の前に座ってるのは、黒木屋 哲夫《くろきや てつお》さん。