それを拾い上げて顔を上げれば、驚いたようにこっちを見るナツメと目が合って、

(あ、見つかった。)

今来たばっかりだし、すぐ帰るつもりだったんだよ、と心の中で言い訳し、とりあえず手を振っておけば、何とも言えない表情をした彼がこっちへ向かってくる。




ん? 怒ってるの? 怒ってるの!?




「……お前、何来てんの」


「さっき補習終わってさー、ボールの音が聞こえたから。見にきてあげた」


「は? 今まで補習終わんなかったわけ?」


「……何か問題でも?」


「……アホすぎるだろ」


「……テヘッ」


「オエッ」




その即答のオエ。ありがとうございますありがとうございます。はいはい。




「……でもすごいね、ナツメ。あんなとこからシュート決めて」


「まあ天才は違いますよね」


「調子に乗るのは違いますよね」


「……お前まだ見てく?」




持っていたボールをナツメに手渡して、

「見ていってもいいの?」

彼からの意外な質問に驚いて聞き返した。