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「……あー、疲れた。死にそう」




4階の教室から玄関に向かい、ぼやきながらだらだらと階段を下りる。



ナツメが部活に行ってから、数学の教科担任があたしの様子を見にやってくるまでの30分間。結局課題のプリントが裏面へとめくられることはなかった。


それから更に1時間30分、みっちりと先生(あたしの理解力のなさに半分キレ気味だった)から指導を受けて、教室を出て今に至るわけだ。



たった1人の生徒相手にたった1枚のプリントを説明するのにこんなに時間がかかったのは初めてだと褒められてしまったりした。



とっても嫌味だけど、おかげで半分くらいは理解できた気がする……!


香奈ちゃんからはそんだけ教ええもらってたった半分? と鼻で笑われそうだけど、頑張った、あたし……!



階段の最後の一段を下り終えて、くったくたの体で靴箱へ向かってのろのろと進む。


そうすれば、奥の体育館からボールをつく軽快な音が聞こえて来て、無意識にふと足をとめた。



バスケ部はまだやってるんだ。……ナツメもいるのかな。いや、そりゃいるよね。