どこでもできるような他愛のない会
話だったけど、短時間でこんなにも
彼女と近づけたということが、僕に
とってはたまらなく嬉しいことだっ
た。

「遅くなってすまんすまん。」
おじいさんは戻ってきた。
「約束があったのを忘れとった。」
にこにこ笑っている。
そして僕らの様子に気がつくと、も
っと笑顔になった。
「おっ、もう意気投合したか。よか
 ったな、リリー!」
リリーは恥ずかしそうに俯いた。
「うん……」
俯いているけど顔はとても笑ってい
る。リリーはもう一度顔をあげ、僕
に言った。

「今日はランとお話ができて、すご
 く楽しかった…。ありがとう。」