少年は泣き続け、ストーカー男もちゃんとこの子を手当てするのかもわからない。
いくら大会中だからって、このまま見捨てるのは気が引ける。
「彼もそこまで腐ってはいない。行くぞ」
「……はい」
最後に少年の頭を撫でて、「あのお兄ちゃんがお家まで送ってくれるから」と告げる。
そしてストーカーもどきに公園の場所を教えて、先輩の後を追った。
それでも不安で顔だけ後ろ振り向くと、
「……お?」
さっきまで死にそうな顔をしていたストーカーもどきが、少年をおぶっていた。
うわ、見た目とは裏腹に力持ち。じゃなくて!
「案外良い奴なんすね」
「私の命に逆らえる帰宅部員などいないさ」



