破壊神が目の前に立ちふさがり、動揺を隠せずにビビりまくっているストーカーもどき。
衝突のせいで地面に落ちているヘッドホンからは、シャカシャカと爆音を鳴り響かせていた。
「ipodを聞きながら帰るという君のスタイルは否定しない。だがな、耳を塞ぐことによって自転車、自動車、人間、大気の揺らぎ、それら全てを感じ取ることが出来なくなる」
君にipodは早すぎたみたいだな。
先輩はそう言いながら、ヘッドホンを手に取りストーカーもどきに差し出した。
「君にも非がある。責任を持って少年を家まで送り届けろ」
「なっ!? ざけんじゃねえ! このガキが前方不注意で突っ込んできたんだろうが!」
「怪我人を送り届けぬ人間に、帰宅部を語る資格はない」
帰宅神の言葉。人として当然の主張。
ストーカーもどきは先輩の迫力に押し負けて、俯いたまま黙り込んだ。
「行くぞ海斗」
「え、でも……」



