腕時計を確認する。
今の所順調に帰宅中。内側の胸ポケットにしまっているケータイに反応はない。
電車のダイヤが乱れたら、皐月先輩からケータイに連絡がくることになっている。
連絡がないということはダイヤに乱れがないということだ。このまま順調に行けばいいんだけど。
背後の敵を警戒しながら、小さな十字路を抜けて行く。
と、その時。
「うわぁぁぁっ!?」
キキィッー! という甲高いブレーキ音が背後から鳴り響き、直後に男の悲鳴が鼓膜を襲った。
何事だと振り向くと、そこには尻もちをついたストーカーもどきと、倒れた自転車に足を挟まれている小学生ぐらいの少年がアスファルトに横たわっていた。
「だ、大丈夫か!?」
すぐに少年の元に駆けつけて、倒れていた自転車を起こし救出する。



