謎の使命感が沸き起こったが、今はマンションへの帰宅中。次の妨害者に気を付けなければ。
人通りの多い個所を避け、なるべく裏道を選んで進んで行く。
妨害者の待ち伏せが恐かったが、こちらの帰路は相手側に漏れてはいないようだった。
その代わり、変なのが一人付いて来ている。
ヘッドフォンをかけた男子高校生。シャカシャカと音漏れが激しい。
教室にいた奴に間違いはない。
一人だけでずっと音楽を聞いていたから記憶に残っているけど……なんで付いて来てるんだ?
「先輩、この人は一体?」
「恐らく最寄駅が一緒なのだろう。下手に単独行動を取るより、私達と共に行動した方が安全だと判断したようだな」
なるへそ。そういう手もあるのか。
一人で帰宅する危険と、冬月先輩の側にいる危険と天秤にかけたんだろう。



