先輩と同時に扉を開けて一歩中へ。そして最後は……。


「「ただいま」」


この言葉で、競技は終了した。


ちなみに玄関には盗聴器がしかけられていて(全然隠してないけど)そのマイクが言葉を拾って、運営に伝わる仕組みになっている。


後は大会側から連絡がくるまで自宅待機。全員帰宅するまで競技は続けられるのだ。


連絡が備え付けの固定電話から。明日の朝会場になった廃校に登校して、結果発表という仕組みになっている。


なかなか面白いよな。帰宅を競う競技なのに、結果発表を聞くために登校するとは、ちょっと笑える。


先輩もいるし温い大会だと思ったけど、出場した選手は皆真剣だった。


勝つために、帰宅するために、本気になって邪魔をして、全力で家に帰った。


先輩の言葉を思い出す。


「俺だけの帰宅道か……」