そんなこんなで数分後。
いつぞやの光景がデジャブして、少し乱れた制服を正した。
見事なまでの屍の山。数だけで全然対したことはなかった。
「戦争は数だよ!」という名言があるけど、流石に寄せ集めの集団じゃプロの帰宅部である先輩には勝てなかった。
的確に急所を突いて、一撃必殺で敵をなぎ倒して行く姿は圧巻。
流石全日本選手権最年少出場者。型に嵌った綺麗なフォームだ。
「一撃で気絶させれば時間の短縮になる。相手も余計な痛みを感じる暇もない」と以前先輩が言っていたけど、下手すりゃ身体の内部は大変なことになるだろう。
外部被ばくより内部被ばくの方がヤバイっていうし、気絶するほどの攻撃を受けたわけだから内臓が……。
プロ級の腕前を持った先輩が出来る芸当なんだろう。内臓にダメージがいかないように、ギリギリのラインを攻めているに違いない。
良い子の皆は絶対に真似するなよ。素人が鳩尾に本気パンチしたら危ないからな。
俺はそんな芸当が出来ないので、適当に相手の足を引っ掛けて逃げに徹した。



