「んで、いきなり教室ですか……」


会場の廃校に到着するや否や、係員に指定の教室で待機するように命じられた。


どうやら学校単位でクラス分けをされているようで、俺と先輩は同じ教室で隣同士になった。


一先ず安堵。ここでバラバラにされたらひとたまりもない。


皐月先輩と山田は外で待機。


サポート組の主な仕事は、公共交通の突発的な時刻表の変更を逸早く俺達に伝えること。


特に電車は突発的なアクシデントが多い。ケータイを通して情報を収集することも出来るけど、そこは現場にいた方が迅速で確実だ。


「海斗、この大会は君のデビュー戦だが、全国大会に向けての実戦練習でもある。私も全力でサポートするが、出来る限り自分の力だけで乗り切ってみせろ」


「乗り切る? ただ逸早く帰宅するだけですよね?」


「言っただろ。直帰は速さを競う競技だが、芸術点も考慮されると」


そう、問題はその芸術点なのだ。