「電車が止まれば奴らは動けない。徒歩の帰宅に切り替えたところで、突然のトラブルに対処することも出来ないはずだ」
「……なんていうか、容赦ないですね」
足は付かないかもしれないが、これは立派な犯罪行為。
良い子の皆は絶対にマネしちゃダメだぞ。出来ないけど。
「帰宅部の秩序を守るのも私達の仕事だ。それに“自然現象”ならば仕方あるまい？」
ニッコリと口角を釣り上げて、先輩は悪戯な笑みを俺に送った。
「そうですね。自然現象ですもんね」
たまたまカラスが物を咥えて、たまたま線路に落としただけのことだ。
自然現象なら仕方ない。カラスが相手なら、鉄道会社も警察も納得してくれるだろう。
そういうことにしておいてください。アハハ。
