鳥笛を合図に、指定した路面にカラス達が物を置く。


安全確認のため電車が止まる。


……という、シンプル且つ大胆な作戦なのである。なんてこったい。


「一つ確認したいんですけど、カラスの調教って富士の野生児がやったんですか?」


「いや、私自ら調教した。大会参加者が他の参加者に手を貸すのはルール違反だからな。鳥笛もギリギリのラインだろう」


「でも、その笛だけでカラスの調教なんて出来るもんなんすか?」


「カラスは頭が良いからな。それに富士の野生児が既に調教したカラス達を利用させてもらったから、さして難しくはなかった。一羽を生贄……その話はもういいだろう」


今、生贄って口にしなかったか?


そういや田舎の方では、畑を荒らすカラス達を退けるため、カカシ代わりにカラスの死体を釣り下げるらしい。


まさか先輩、カラスを一羽絞めて……。


深くは考えないでおこう。うん。