まあつまり、くちばしに小石を挟んで落としているのだ。一斉に。
地面に跳ねる小石の雨。凄まじい音が周囲に木霊する。
ただの小石とはいえこの量だ。怪我はしないだろうけど、当たればかなり痛いと思う。
傘のガードがなければ、醜態を晒していたとこだ。
カラスの小石に逃げ惑う高校生……ある意味見物だな。
ちなみに俺が予想していた攻撃は、カラスのフンが……というものだったが、流石に富士の野生児もこの攻撃は自重したようだ。助かったぁ。
小石の雨はすぐに止んだが、犬にカラスとバリエーション豊富な妨害行動で、俺の精神はかなりすり減っていた。
もうやだ。ジャンルがコメディだからって、やりすぎは良くないよぉ。
恐らくまだトラップはあるだろう。道のりはまだまだ長い。
肉食動物にだけは気を付けよう。生肉はまだあるから、まだなんとかなるだろうけど。
頭の中で肉食動物とのシミュレーションをしていると、不穏な気配を察知した。
なにか来る。野生の勘がそう告げる。



