いやまさか。いくら鷹匠だからって、これだけのカラスを調教するなんてことは……ねぇ?
「海斗、折りたたみ傘は持っているか?」
「え、はい。鞄に入ってますけど……」
帰宅中に通り雨が降っていいようにと、常に折りたたみ傘を常備している。帰宅部必須のアイテムだ。
「すぐに差せ。大変なことになるぞ」
「……もう嫌な予感しかしないっす」
その予感は、やや半分命中した。
バタバタと鈍い音を奏でながら、広げた傘が悲鳴をあげる。
お天気お姉さんも、今日の予報は絶対に予測できなかっただろう。
晴れときどき大雨。
雨は雨でも、小石の雨だけど。
カラスは賢い生き物だ。井戸の水を飲むために、小石を投じて水かさを増したという逸話もあるほどだ。



