そもそもあれは、本当にトンビ?
「鷹匠だ。小型の無線カメラとGPSを付けて、私達の動きを監視しているんだろう」
「鷹匠!? いやでも、鷹匠って鷹狩をする人ですよね? 人間の監視なんて出来るんですか?」
「一流の調教師ならばあるいは……いずれにせよ、生き物を使うのが“富士の野生児”の手段だ。あの鷹も、なにかしらの役割を持っているのは間違いないだろう」
「一流の調教師って……」
あの人畜無害そうな好青年が、一流の調教師だというのか?
だけど真上を飛ぶ鷹(らしき鳥類)や、野良犬を使った封鎖トラップを考えると、そう考えるのが妥当だろう。
ていうか先輩がそう言うんだからそうなんだろう。仲良さげなのは俺も見ている。
とはいえ鳥類の調教まで出来るとは、見境ないというか手広いというか。
「まさかライオンとか像とか持ち込んだりしてないですよね?」
「可能性はゼロじゃないな」



