どうやって手なづけたのかは知らないが、学校の出入り口に獰猛な野良犬を配置させて、帰宅の妨害をするという戦法だ。


普通に考えたらありえない戦法だが、もうこれくらいのことじゃ驚かない。変な耐性ついちまったからな。


これだけの野良犬を集めて短期間の内に調教を済ますとは、二つ名である“野生児”の意味がなんとなくだが読めてきた。


ともかく、今はこの猛犬の壁を乗り越えなければ、俺達に未来はない。


強行突破は危険すぎ。噛まれて狂犬病とかシャレにならない。


それに最近は動物愛護団体がうるせぇしなぁ。目をつけられるのも面倒だし、出来るだけ穏便に済ませたい。


なので事前に準備をしてきましたよ。


このトラップを突破する最善の策ってやつを!


鞄の中から長方形の物体を取り出す。


それは所謂タッパーで、しっかりと密封した中身には、ピンクの物体がゴロゴロと転がっている。


犬達の目付きが変わる。