「お説教のつもり? 他人の帰宅道には干渉せずが、私達帰宅神のルールでしょ」


「行き過ぎた行為を咎めるのが、私達ゴット・オブ・ゴットの役目でもある。誘惑するにしても、一対一での正当な交渉をするのだな」


「テメェ……ざけんじゃねえ! 童貞共に夢見させてなにがわりぃんだよ! (ピー)して(ピー)させて(ピー)させるだけじゃねぇか!
感謝はされても、非難される覚えはねえよ! 気持ちいい思いさせてんだから、こんくらいの見返りを求めんのは当然だろうが!
こちとら慈善事業じゃねえんだよ! タダでやらせてくれる女なんかいるわけねえだろバーカ! あたしはそこらんに転がってる尻軽女みたいにホイホイ股を開かねぇんだよ!
(ピー)して(ピー)させる代わりに試合を辞退させる何が……!」


全てを言い終わる前に、先輩が手刀で誘惑の婦女子の頸動脈を打った。


ジャッジに見えない位置で、周囲に悟られる前に早く事を済ませた。


まさに早業。必殺仕事人顔負けだ。


俺としても、これ以上放送禁止用語を連発されては困るので助かった。運営に規制されるのはもうコリゴリだ。


気を失った誘惑の婦女子を抱きかかえて、先輩は周囲を見渡す。


「怒り過ぎて気を失ったようだ。次の駅で降ろそうと思うが、誰が彼女を送ってくれる者はいないか?」