先輩がすかさず話に入って来る。ナイスフォローです!
「君の行為は私が目撃している。私以外にも目撃している者がいるだろう。なぁ?」
周囲に睨みをきかせると、周りの男達はビクリと肩を震わせて下を向いた。
無言の脅し。
いくら仲間とはいえ、所詮はなにかしらの見返りを求めての主従契約だろう。
報酬をいただくのと破壊神の怒りを買うのを天秤にかけて、後者の方が重いと判断したようだ。
賢明な判断である。若者が死に急ぐ必要はない。
まさかの奇襲と先輩の気迫に負けて、恥女は言葉も出ないようだ。
「どうする? このまま痴漢として鉄道警察に引き渡されるか、金輪際純朴な少年を獲物にしないとここで誓うか。二つに一つだ」
先輩が言い渡した最後の通告。
今まで食い物にしてきた男達と同じ窮地に立たされている誘惑の婦女子は、苦虫を噛み潰したような不快な表情を晒すと、俺の腕から乱暴に抜け出した。



