『下心で入部すると後で痛い目に遭うぞ』


まさに正論。完全論破。


帰宅部で出会った先輩の話をしたら、真っ先に釘を打たれて軽く凹む。


無口な宙君はスマホを器用に使いこなして文字を打ち、その画面を俺に向けた。


『そもそも帰宅部ってなんなんだ? 先輩との接点が増えるというプラス要素があるかもしれないけど、そんな怪しい部に入ることによるマイナス要素の方が多い気がするけど?』


相変わらずタイピングがお早いこって。指は口ほどに物を言うってか?


「でも先輩チョー美人なの。俺のタイプなの。毎日先輩と帰宅出来るってメリットはかなりデカくね?」


宙はまたスマホを使って文字を打つ。


最近買え換えてタッチパネル式は使いづらいと言っていたけど、慣れた手つきでタイピングしている。適応力半端ねぇな。


で、宙が見せてきた画面には以下の文字列が記入されていた。


『同じ部に入って恋人が出来たら、誰も苦労しないっての』