先輩とはいえ怠慢すれば負けてしまう。


そのことを今一度頭に叩きこんで、気合いを入れ直した。


今までは先輩の足を引っ張らないようにと思っていたけど、俺が下手すりゃ先輩の名声だって損なうことになりかねないんだ。


人一倍頑張らないと。うん。


教室に入ると、やせ細った男が既に席についていた。


どうやら一人のようで、軽く挨拶をかわすと俺と先輩も椅子に座った。


これといった挑発はしてこないな?


至って大人しい細身の少年だが、こういう一見無害そうな奴に限って手口が込んでいるのだ。


それにこいつが直接手を下さなくとも、彼の協力者が妨害者として参加してくるケースもある。


疑うぐらいが丁度いい。


どんな相手だろうと、舐めてかかった時点でそいつの負けだ。