「先輩?」


頭上にあった掌が、そのままスススッと頬に流れる。


ちょっ! この手の位置はもしかして!?


期待はマックス。股間も(自主規制)


なんてくだらない下ネタを思い浮かべた脳みそは、今頃沸騰しそうなほど熱気が籠っているはずだ。


このまま両手で頬を押さえて……ってことですよね? 先輩から積極的なチューが頂けるってことですよね?


大丈夫。部屋から出る前に鼻毛のチェックと、キシリトールガムを噛んできた。


今ならイケる! いつでもかかってこい!


コンマ数秒の内でそんなことを考えていたら、先輩の手が離れて行った。


へ? なんで?


「そろそろ君も、己の帰宅道を見つける時がきたようだな」


いやいやいや、帰宅道とか今はどうでもいいんですよ。