俺は続ける。


「俺も止めようとしたけど止められなくて。結局警察に捕まって、今はアメリカの刑務所で服役中なんですけど……あっー! すみません、話がまとまってなくて……」


「構わない。続けてくれ」


割とショッキングな内容のはずなのに、先輩は目を逸らさず真剣に話を聞いてくれている。


気持ちを落ち着かせようと軽く深呼吸をして、先輩が一番気にかけている問題に触れた。


「父さんが捕まって、一人ぼっちになって、家にいるのが辛くなったんです。父さんの面影や思い出がチラついて、その度に情緒不安定になって。
俺を放って馬鹿なことしやがってとか、どうして父さんを支えられなかったんだとか。父さんに対する怒りと自己嫌悪の後悔が次々襲いかって、家にいるのが辛かったんです。
幸い父さんの知人が資金の援助をしてくれたんで、アパートの一室を借りてたんですけど、その援助も無くなって……。
今は友人の家にお世話になってるんですけど……あー、そうじゃなくて」


これじゃあただの不幸自慢。独り善がりのオナニー語り。


こういうことを話したいわけじゃない。聞いてほしいわけじゃない。


俺が欲しいのは明確な答え。


心の奥に奥へと追いやった、たった一つの真実。