俺の姿を一瞥すると、手元にあったスマホを使って文字を打つ。


芽衣ちゃんに覗かれないように高い位置で見せつけられたディスプレイには、思春期の男の子を持った母親の言葉が打たれていた。


「お前はいつから俺のママになったんだ?」


『居候にやる飯はない』


「はいはい、この皿でいいよな?」


コクリと頷くのを確認して、慣れた手つきで食器棚から深皿を三枚取り出した。


宙の家に住み着いて早三ヶ月。居候生活も案外悪くない。


芽衣ちゃんは素直で可愛いし、宙の飯は旨いし、まさにいたせりつくせりの環境だ。


大会があったから結構久しぶりに三人で夕食を食べた。


やっぱり宙の飯は旨い。ご飯が進み過ぎて体重がちょっと増えたほどだ。


こんな料理を作ってもらえるなんて、宙は良いお嫁さんになるなぁっと、半分本気の冗談をニヤニヤしながら言ってやったら、芽衣ちゃんに見られない角度でキッと睨まれた。恐い恐い。