俺ではなく冬月先輩にぶち当たった。
「やっと見つけたぜ。今日という今日は容赦しねーからなぁ!」
どうやら狙いは先輩らしい。
ナンパ……って雰囲気ではなさそうだ。口も悪いし、なにより殺気立っている。
なにかしらの因縁がありそう。まあ十中八九、あっちの方が悪いんだろうけど。
さてどうするかこの状況。
俺一人ならなんとか撒けるだろうけど先輩がいる。逃げ切るのは難しそうだ。
しょうがねえ。適当に相手をして、その隙に先輩を逃がそう。
「海斗」
「大丈夫ですよ先輩……」
俺がなんとかしますからと言い切る前に、先輩は自分の鞄を俺に押し付けた。
そしてあろうことか、不良達の元に歩み寄るじゃないか!



