シャンプー会社からCMのオファーが来るんじゃないかと思うくらい、真っ直ぐで艶やかな黒髪が宙を舞う。


黒髪ロング萌えな俺はついつい見惚れてしまったが、すぐに蛙が潰れたような嫌な音が耳に飛び込んで現実に戻された。


髪を撫でる黒髪美人。その足元は死屍累々。


帰宅途中なぜか他校の男子高校生に絡まれて、理由は知らんが女性の手前逃げ出すわけにもいかず、適当に相手をしてやるかと考えていたら、いつの間にか死体の山が出来上がっていた。


その間僅か数十秒。一分も経ってないじゃないか?


六名の男子高校生を一撃で仕留めた黒髪美人……冬月美鈴先輩は、負傷しながらも立ち上がって来た不良にトドメの顔面蹴りを喰らわせて、クルリと俺の方へと向き直った。


「帰るぞ。早くしないとキテレツ大百科に間に合わない」


あー……うん。とりあえずこの一言だけは言わせてください。


どうしてこうなった?





【帰宅部全国大会】