とうとう自分の番が来てしまった。あたしは、言おうか言わまいか、悩んだ。だけど、言ってしまえば恋バナが出来る、と思い付き、思い切って言うことにした。
「…多分ね、聞いたらあぁってなると思う」
なぜならあたしが好きなのは……。
「明石、だよ」
「…あぁ!」
明石は、きっとあたし達の学年で一番モテる。綺麗な黒髪に大きな瞳、綺麗な顔立ちで白い肌。今、硬派ブームが来ているのもあって、明石はその真ん中にいた。女嫌いって噂もあるけど、謎でよく分からない。
「可愛いよね!何で何で?」
暴露大会とか言うものは、そこまで聞かれるのか。
好きは好きなんだから、好きで終わっちゃだめなのか。
そう思い、チラリと3人を見ると、みんな期待している。
何か、言わなくちゃ。
あたしはどこを好きになったのかな。気付いたらだった。
明石は、何してるのがいい?
明石といえば…
「バスケ!」
そうだ、明石はバスケが上手い。あたしは明石のバスケが大好きだ。
「へー!乙女だね、柚月」
「みんなもじゃん」
「ふふっ」
中2の始まりの春、こうしてあたし達は、互いの秘密を分け合った。