アンジュエールの道標


「ってか、その花瓶投げられてあたったの俺だし」


ハルは「ほれ」と前髪をかきあげて頭に出来たたんこぶを見せる。


「それで俺、死んじゃったし」

「……ごめん」


なんだか奇妙な感じだけどとりあえず謝った。

すると永久さんは「うーん」と少し唸って。


「ねぇ、ハル。君は本当に死んでるの?」

「ん?」

「いや、その割には精神がしっかりしてるいうか……」

「そもそも骸(むくろ)はあったのか?」