外は静かで、星が光ってた。
文也は自分のバイクを押して広い通りまで出る。
私は文也の横を歩いた。

嬉しかった。

例え両思いじゃ無くても、私はこの瞬間
一点の曇もない嬉しい気持ちで満たされた。

『海。良いなぁ。』私はポツリと言った。
『夜の海は綺麗だよ。』
文也は静かに言った。

大きな通りに出た。
文也はピンクのヘルメットを私に渡した。
千穂子のメットだ。
文也は黒とブルーと白のメット横に
Fumiya とカッティングシールが貼ってある。
千穂子のお手製だ。

文也がバイクに跨がりエンジンをかけた。
私は千穂子の乗っている後ろの席に跨がった。
そしてバイクは静かに発進した。