あたしは歯をキリキリと立てながら、
ぐっとこらえた。
そして、昨日やってきた鳥のことをふと
思い出して伊原 瞬に私のファイルに保管
しておいたチューリップの絵を差し出した。
「あんたさ、この絵が誰の物か知らない?」
あたしは朝、拾った絵を伊原瞬に見せた。
すると伊原瞬は驚いた顔をして
あたしから目をそらした。
「っ……知らねーな。そんな下手な絵!」
あたしはそれを聞いて腹が立った。
コイツ、本当に最悪…。
「この絵を書いたのはあんたじゃないこと確定」
「はぁ!?」
「だって、この絵のチューリップは嬉しそうでしょ?きっと優しい暖かい気持ちを持った人が書いてるんだよ。」
一生懸命努力してる人は絶対
先に進めるんだから…。
「知るかよ…。」
そう言ってそっぽ向く伊原瞬。
何よ…やっぱり可愛くない。
そんなこんなで
―――キーンコーンカーンコーン…
とチャイムの音が鳴り響く。