「まぁ、人と仲良くなるのは苦手。絵を
描いてると他の事何も見えなくなるから。」
そう言って瞬は私をじっと見つめた。
「夢中になって門限もやぶっちまうんだ。
俺はけやき祭より絵を描いていたいんだ。」
そーだった。
あたしがどうこう言っても無駄だった。
瞬は…誰よりも絵が好きだから……。
「人との付き合いも両立したいけど絵がなくなったら俺は何も残りやしない。迷ってたけど、そう思えるようになったのは心愛の…………」
あたしは全て聞き終わる前に小さく頷いて、
にっこり笑った。
「…分かった。」
瞬にあたしの恋を押し付けて邪魔なんて
しちゃ駄目だ。
「じゃ、あたしが瞬の代わりに一肌脱いでやる!!けやき祭で何でもやってやるー!」
かかってこい、コスプレよ!!
……ってそれで皆納得してくれるかな…?
「……いーよ。」
「へっ?」
「ちょっとならしてやるって。
俺が引き受けなきゃ心愛が困るんだろ?」
「ホ…ホント!!」
「ただし、心愛も同じ格好すること!!いいな!?」
「え…あたし、男装なんて似合わないよ?」
「ぶっ…俺が見たいだけ。」
「あぁっ笑ってる!!」
「笑ってねーし。」
「あたし笑ってるの見たもん!!」
…………。
「ふふっ……あははっ」
あたし達は2人顔を見合わせて笑った。
楽しくって嬉しくってこんな気持ちは
離せない宝物なんだって今更気づいた。