ザワザワとざわつくその教室内で、私はその視線を一身に受けているきがするのは気のせいだろうか。

視線が痛い気がする。

と、言うのも…
私は現在顔を伏せて寝たふりを貫いているからだ。



だって…


「(何っで先生が来ないのよーー!!)」


他のクラスはもう先生が来たらしいのに、私のクラスには何故かまだ先生が来ていない。

よって、私は顔があげられない。


「(恐い…っ本気で恐い…っ)」


俄に震えている身体を落ち着けるために、グッと掌に力を込めた瞬間、何故かざわつきが強くなった。

何事だろう?

と、思った瞬間…



「また女だ!」

「(女の子…?)」


その言葉で私はピクリと反応する。
そして先程の、理事長である祖父の言葉が脳裏に浮かんだ。


「……(学園唯一の女の子が同じクラスなんだっけ?)」


男だらけの悪夢のようなこの場所に、女の子がいる。

それだけで私は嬉しくなって、伏せていた顔を少しあげた。
そして視線を入り口の方に移す。



「……へ?」


そして絶句した。


「(や…やんきー……?)」


私の左隣の席に座ったのは、金髪ショートカットのマスクをつけたジャージ姿の女の子だった。
その子は無言で椅子を引くと、それにドカッと腰掛ける。

「何見てんだよ…」

そして、その言葉と供に
私はギロリと睨まれた。

私は「ご…ごめんなさい…っ」と言って、私はその場に縮こまる。
女の子は舌打ちをすると、耳にイヤホンをあてて、机に突っ伏して寝る体制に入った。