「なんだ。人いたんだ」
そう言って、関さんは自分の席に座る。
そして私の方に視線を向けてきた。
「昨日はごめんね、睨んだりして」
思わぬ謝罪に一瞬驚くものの、私はブンブンと横に首を降った。
「それ、自分でつくったの?」
「ぅ…うん、学食行きたくないから」
そう言って苦笑すれば、関さんは「それ分かる」っと、笑った。
笑った顔は、想像していたよりも可愛い。
「あたしは男苦手な訳じゃないけどさ、流石に男だけしかいない空間なんか、息が詰まりそうだもん、視線もウザいし絶対行きたくない」
「だよね、やっぱりそうだよね!良かったぁ…」
張りつめていた緊張が溶けていく。
見た目だけで恐怖心を抱いていた昨日の自分が恥ずかしく感じた。
「関さんはご飯どうしてるの?自炊?」
「一実でいーよ。あたしも春風って呼ぶし。…ご飯は作ったり作んなかったりかな」
ほら、といって一実が取り出したのはメロンパン。
彼女は基本パン食らしい。
そしてどんどん弾む会話。
女子高にいた頃のことを思い出しながら、私はクスッと笑んだ。
と、その時…

