私の実家は、
ある事で多額の借金を背負い、
一家心中を考えていた。


そこに救いの手が、
差し伸べられたのが彼の手。


「借金を肩代わりする
代わりにこの女を俺にくれ。」


両親は戸惑いを見せて、
何度か断りをしたが、
逆に借金取りの取立ての
怖さに幼かった兄妹が泣き叫び、
私は決断した。


「私彼の所に行く。」


「無理よ・・。」


お母さんは私を説得したが、
私の気持ちが変わる事は無く、
父は何も言わずに、
私に1つの物を渡された。


可愛く作られた布袋さんだった。


「これは?」


「母さんと旅行で京都に
行った時にある神社で、
布袋さんの形をしたおみくじが
あったんだ。

あまりにも可愛らしく、
2人で1つを買ったんだ。

これをお前にやるから、
私達と想ってくれ。」


父は泣きながら私に
くれた布袋さんは、
今私の手の中にある。