……15分前。
「例の男が入った模様。すでに追跡する準備は整っています。追跡しますか?
サズナ様」
「いいや、それはいい」
「了解いたしました」
サズナ様と呼ばれた髪の長い女は咳払いをすると、声を潜めた。
「ところで……。例のあれはどうなっている?仕入れてくれたか?」
一瞬聞かれた部下はなんのことか分からなかったが、頼まれていたものを思い出し、机の下に置いてあった紙袋を取り出した。
「こちらです」
それを見たサズナは目を輝かせた。
「これ、欲しかったの!…………ゴホンッ……ありがとう、助かった」
「いえ」
自動ドアが開く。人が入ってきた。
「大変だサズナ様!エベルが抜け出しましたっす!」
「…………」(ま、まずい、なんでこんな時に……!)
「あのヤロー最低なんすよ!?オレには内緒で勝手にプリン食べてるし!あーもう思い出しただけで腹立ってきた……って、サズナ様?
なにやってんすか?」
「え、い、いや、べ、別に?」
サズナがうわずったような声を出し、後ろになにかを隠しているような動作を見て、茶髪のチビは頭に?を乗せた。