「やっぱ山だし、虫いるのかなー…あたし虫苦手なんだよね」


「たりめーじゃん。そりゃいっぱいいるって!」


九条くんは苦笑してる。


ああ、やっぱりいるんだ。


虫…イヤすぎる。


「そーいやさ。小学生んときも合宿があったよな」


九条くんが突然懐かしい話題を振ってきた。


「うん、あった!周りに何もない田舎に泊まって、夜は外も真っ暗だし、牛の声が遠くからずっと聞こえてて怖かった…」


思い出しただけで怖いよ。


あたしが顔をしかめたのを見て、九条くんはブッと吹きだした。