「いいか、勝手に川には入るなよ?」 お父さんが言った。 妹の琴葉は、しゃがみこんで石を転がして遊んでいた。 その変わりに私が、 「分かった。入らない」 と言った。 「じゃあ、お父さんたちはここら辺、みて周るけど、 お前らはどうする?」 私が口を開くより先に、琴葉が答えた。 「うち、疲れた」 お父さんは、琴葉の頭に手をポンっと置いてから言った。 「いいか、絶対入るなよ」 それだけ言うと、背中を向けてお母さんのもとへ行った。