たくさん並ぶ可愛いケーキ達を前に私は悩んでいた。

ど……どれにしよう……。

全部食べたいけど、それはできないし……。


「チョコ……モンブラン……ミルクレープ……」

「何呪文唱えてんの?」


ぱっと顔を上げると、小さく笑う杉山君がいた。


「あ……どれにしようか悩んでて……」

「あー、俺のオススメはそれ」


そう言って杉山君が指差したのはフルーツがいっぱい載ったタルト。


「この前音羽に食べさせられたけど、結構旨かったよ」

「この前……?」

「前にも連れて来られたことあるから」


確かあのときは三人で割引キャンペーン中だった、と笑う杉山君。


「杉山君、甘いもの好きなの?」

「別に嫌いではねぇけど……好きかって言われたら……。
でも、音羽と来ると何個も目の前でバクバク食われるから……胸焼けする」


なるほど……。

杉山君も大変なんだね。