俺が体育館を出て帰ろうとしていると、前に同じく帰ろうとしている二人が見えた。

……間違いない、音羽と海斗だ。

二人並んで、楽しそうにじゃれ合いながら帰ってる。


「……もうちょっと遅れて出てくるんだった」


あれを見るぐらいだったら……一人でさっさと帰らずに誰か待ってればよかった。

そんな後悔をしながら一人寂しく歩いてる俺。

前を歩いてる二人とは正反対。


「……アホらし」


ここまで来ると、もう笑えてくる。

何が幼なじみとしてしか見られてないだよ。

あんなに楽しそうに笑ってんじゃねぇか。

俺には見せない笑顔を……海斗には見せてんじゃん。


二人が校門を出て行ったあと……俺は校門を出て二人とは逆の方を歩いた。


……さっきまで俺に笑いかけていた音羽が、なぜか遠くに感じて。

後ろから微かに聞こえる音羽の声に……切なさを覚えた、高三の春――