「……行かなくてよかったんですか?」


三上君が聞くと、結城先輩は首を横に振った。


「アホ。
今二人きりになったら心臓持たないから」

「湊先輩、メッチャ顔赤かったですもんね」

「マジで告られたかと思ったし……。
恥ずかし……」


あんまり落ち込まないでくださいよ、と笑いながら言って三上君はまた練習に戻っていった。


はぁ、とまたため息をつく先輩。


「……沢木」

「は、はい」

「……音羽の好きなヤツとか……聞いたことある?」

「音ちゃんの……ですか?
いえ……聞いたことないです」


仲良くなってからそんなに日も経ってないし……それに、そういう話したことないし……。


「やっぱ……海斗かなー……」

「海斗……?」

「音羽の幼なじみ。
家が隣同士で小さい頃からずっと一緒だったんだと」


音ちゃん、幼なじみがいたんだ……。

どんな人だろ?

会ってみたいな~……。