あたしは頭をゆっくり上げた。
少しボヤけた視界に映るのは……ちょっとチャラめの格好をした男子生徒。
「……何で……?」
教室内にはもうあたし達以外誰もいない……。
しーんとした室内……。
「お前、こんなとこで何やってんだよ」
「……現実逃避?」
「意味分かんねぇし……」
海斗はあたしの前の席に腰を下ろした。
あ……海斗と話すの久しぶりだ……。
「誕生日……おめでとう」
「え……」
「言ってなかったなーって思って」
「そのためにわざわざ……?」
「いや……用事はもう一個あるんだけど」
もう一個……?
すると、海斗は突然真面目な顔になった。

