「音羽、あれは……」

「あたし、お邪魔……ですよね」

「え?」

「先に帰りますね。
湊先輩、今日はありがとうございました」


音羽は笑顔で俺にそう言うと、そのまま真っ直ぐ歩いていってしまった……。


「音羽!?」


どんどん小さくなっていく音羽の背中……。


「……付き合ってるの?」

「……まだ」

「まだってことは……いずれ?」

「そうなったらいいな……って」


そっか……と小さな声で呟く相川。


「ごめん……あたし、邪魔しちゃったね」

「いや……」

「……ごめんね。
ちょっと悔しくて……。
意地悪しちゃった……」

「相川……」

「あの子……音羽ちゃんだっけ。
音羽ちゃんにも謝っとくね」


最後にもう一度ごめんねと言って、相川はゆっくりと歩いていった。

その背中は……すごく寂しそうだった。