「んー……」


音羽はしばらく考えたあと、顔を上げて俺の方を見た。


「先輩の行きたいところで」


ニッコリ笑いながらそう言う音羽。


「遠慮しなくていいから」

「遠慮じゃないですよー。
先輩の行きたいところに行きたいだけです」


サラッと可愛い顔でそんなこと言われたら……ヤバいでしょ。


「先輩はどこに行きたいですか?」

「……音羽の行きたいとこ」

「それじゃ話が進まないじゃないですかー!」

「じゃあジャンケンで決めるか?」

「……あっち向いてホイで」

「あー、そういえばお前、ジャンケン超弱かったもんな」

「弱いんじゃないです!
運がないだけです!」

「だからそれが弱いんだって……」


もうムードもへったくれもないこの状況。

結局なぜかあっち向いてホイで負けた方が場所を決めることになって……


「はい、音羽」

「……じゃあ、先輩が行きたいとこ」

「音羽ちゃん?」

「あ、そういえば近くに新しく遊園地できましたよね?」

「あぁ、そういやそうだったな」

「そこ行きたいです!」


新しくできた遊園地か……。

そういえば隆やんが前に友達と行ったって言ってたな。

ちょっと聞いてみるか。