建物の外装、広くて色とりどりの花が咲き乱れる庭園、よくわからない金色のオブジェ、巨大な噴水、無駄に凝ってる長椅子、お洒落な石畳には王家の紋章が描かれている。
中に入ると大きくて金に輝くシャンデリアが私達を出迎えた。床は大理石でできてるけど、壁はどうやら石らしい。
……まぁ、お城はその人の権力の誇示でもあるけどさ、それでも解せないなぁ。私シンプルなのが好みだから。
絵画とか宝石とか、そんなに持って何がしたいの?って思う。
長い廊下を突き進んで行くと、広場に出た。床には魔方陣が描かれている。転移魔法の陣だ。成る程、だからあの門番さんは早かったんだ。
メイドさんが呪文を唱えると、床が光って景色が一変した。目の前には巨大な扉。
「中で王様がお待ちです」
軽く会釈して、メイドさんは去っていった。私は渾身の勇気を振り絞ってノック!「入れ」という低い地鳴りのような声。いい声だけど、怖いなぁ。
私は「失礼します」と言って入った。
中には王様と王妃様が並んで玉座に座ってる。わぁ、結構いい年してるんだね、お二方。て、失礼か。
「お主か、リオンと申すは」
「はい」
「今回の件は他でもない。噂は聞いておろう?近年、フェンリルが出没しておる。すでに奴の餌食となった者が数名出た。
兵達は祭りが近いため労力を割けぬ。フェンリルのせいで祭りが中止になるやもしれんのだ。1週間期限をやる。それまでに奴を仕留めるのだ。
報酬はその働きぶりによって変わる。最低でも50万フーロは用意しよう。部屋は用意してある。存分に使うといい。
主らの活躍に期待しておるぞ」


