『あのね、パパ!』
『仕事の邪魔だから下がっていなさい』
大きくて固い手が私を払いのけた。パパはいつもそう。仕事の邪魔だからって、私を邪険に扱う。
私はただ、お友達とのことを話したいだけなのに。
『あのね、ママ?』
『リオン!お母様と呼びなさい。何度言ったらわかるのっ?それと、お勉強はどうしたの。さっさとやってらっしゃい』
ママはこうやって私を勉強させる。ただ近寄っただけでも、ママは私を遠ざけた。
まるで、何か汚いモノを払うかのように。
パパもママも、私を好きになってくれないけれど、私はパパもママも大好きだった。理由はわからないけれど。
だから、お友達の家に遊びに行った時に見る、あの幸せそうな雰囲気が羨ましかった。
辛くて、恋しくて、切なくて、痛くて、哀しくて、淋しくて……。
だけど何故か、それは仕方のないようなことに思えた。
パパとママとは、ずっと一緒にいた。その反面、ずっと一緒にいなかった気もする。
私達の距離は、いつも近くて遠かった。
授業参観なんて来てもらったことないし。プレゼントなんて一度も貰ったこともない。
服はメイドさんが買ってきてくれるし、ご飯はコックさんが作ってくれる。買い物は使用人が必要な物だけを揃える。
色々な稽古があったし、礼儀作法には厳しいし、テストで優秀な成績を求められてるのに、私は頭の出来が悪くていつも落胆させてた。
私は本当に駄目な子供です。
生まれてきてごめんなさい。生きていてごめんなさい。本当なら今すぐそう謝りたい。
……だけど……。


