私は諦めてまた月を見た。今日の月は白く皓々と光ってる。
私も……
「私も月に、なりたいなぁ……」
太陽の光や夜でないと輝けないけど、私は別に輝けなくていいから、月になりたい。
いつもそこにいて、誰かの支えになれるような。
そんな私を、シアンはじっと見つめてきた。な、何ですか?
「……お嬢様は月になってはいけません」
「え、何で?」
「何でもです」
「はぐらかさないでよ〜。どうしてダメなの?」
「……どうしても、です」
それ以上答えてくれそうになかったから、私は渋々諦めた。本当、シアンは何にも教えてくれないんだから。
いつも自分の中に閉まって、近づかせないし近寄らない。ま、ティスも似たようなものだけど。
「……冷えてきました。中へ入って、今日はもう寝ましょう」
「うん」
